2019-08-30 (Fri)
10:33
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まだ8月なのに秋の長雨のように雨が降り続きます。もうすぐ夏休みも終わろとしていますが不思議な天候です。
保育にまつわる事故や虐待等が後を絶ちません。
背景にあるのは保育者の余裕のなさだといわれています。
日本は先進国の中でも異例の長時間保育を行っています。それだけ需要があるということなのでしょうが、需要があるから長時間保育が生まれる、長時間保育があるから長時間労働が生まれるという循環もあります。
虐待は絶対にあってはならないことです。だから、それを弁護するつもりはありませんが、密室の中で長時間こどもの相手をしていれば、最初はかわいいと思えた子どもたちが全然かわいいと思えずに憎悪の対象にさえなってしまうというのは心の動きとしてはわからないではありません。女性の社会進出と保育者の働き方が必ずしもマッチングしていない。そこから起きる悲劇かもしれません。
昔は幼稚園は夏休み冬休みはほぼまるまる休み(その代わり土曜は休みではありませんでしたが、これはどの業種でも同じです)でした。保育園も4時半くらいまでしか預かってくれませんでした。そういう時代であればどこかで息抜きができたのかもしれません。
そんな中で幼児教育の無償化にあわせて預かり保育の無償化が始まろうとしています。そうでなくても先生の確保に汲汲としている中で預かり保育が無償化されたら先生をどうやって確保すればよいのか戦々恐々としているのが幼稚園の実態ではないかと思います。
よく欧米では時間通り働いてアフターファイブを楽しんでいるといわれますが、欧米では残業の割り増しが日本よりはるかに高いため残業をされたら企業が困るという事情もあります。じゃあ残業代を高くしたら良いではないかというとそれも簡単な話ではありません。
同一労働同一賃金というものがあります。おそらくそれを見据えて最低賃金が上がっているのだと思いますが、これは欧米では定期昇給が無いかあまり無いことを前提にした制度です。欧米では給与も役職もだいたい30代前半にピークを迎えます。日本では40代後半から50代がピークになります。ニンジンが遠くにぶら下がっている感じですね。
欧米では子どもが高等教育を受けるころに親の収入が高くなっているわけではないので必然的に無償化やアメリカのような奨学金が必要になってきます。
一方でこれは女性や外国人労働者にとって有利な制度です。出産や育児によるブランクやそこそこの年齢になって日本に来たことがそれほど不利にはなりません。育児休暇中に周りと大きく差がつくことがないからです。
また一方で企業にとってはスキルのない若年労働者よりも経験とスキルのあるベテランを雇ったほうが得になる制度でもあります。同一賃金だったらどこでもそうします。結果として失業中あるいは仕事に就けない若者を大量にうみだすことになります。そうなると将来を悲観した若者が無軌道な行動に走る。まさに欧州のような社会になるということですね。
日本は欧米に比べれば格差の少ない社会です。それでも格差は進行しつつあるようですが。
これは日本人の心のあり方によるものではないと思います。それが証拠に戦前の日本は欧米よりも格差が激しかった。
人の心のあり方は制度が規定する。制度が変われば人の心も変わる。差し当たっては欧米のようになるということか。それが良いのか悪いのか。その先を見て見たいような見たくないような。
上の記述はあくまで私見です。あまり鵜呑みにしないでください。(しないか)
さて、幼稚園では萩の花が…。鬱蒼という感じです。だんだん秋になっていきます。
↻2019-08-30